自宅サロンに営業許可・届出は必要?ジャンル別に開業時のポイントを詳しく解説

初期費用をおさえて開業できる自宅サロンですが、営業許可など必要な手続きは業種によって異なります。そこで今回は、以下の業種に分けて、開業時の手順を詳しく解説します。

 

  • ネイルサロン
  • リラクゼーションサロン
  • まつエクサロン
  • エステサロン

 

それぞれ、どのような営業許可が必要なのか?に加えて、資格についても触れてきます。また記事後半では、見落としがちな物件上の注意点についても解説しますので、開業に踏み出す前にしっかりとチェックしておきましょう!

 

自宅サロンの開業で全業種必要な手続きは「開業届」のみ

 

全業種共通して、開業時に必要な手続きは「開業届」の提出のみです。とはいえ開業届を出したからといって明日から自宅がサロン!とは当然いかず、ある程度の改装や必要機材の導入など、さまざまな準備は必要になります。

 

  1. 事業計画書の作成
  2. 開業資金の準備
  3. 内装、設備の整備
  4. 営業許可など各種届出
  5. 集客、オープン

 

上記はざっくりとした開業までのステップです。なかでも営業許可・各種届出など、手続き関連は「何をどこに提出したらいいの?」と複雑なイメージを持つ方が多いことでしょう。

 

ここでおさえるべきポイントは「サロンのジャンルごとに必要な手続きが異なる」点です。特にまつエク施術に関しては、保健所への美容所登録が必要になり、物件上の規約も多くなります。

 

他、今回記事内で解説するネイル・リラクゼーション・エステに関しては物件上の規約がなく、簡単な手続きのみで開業できます。このため、まだ開業するジャンルを決めていない方、もしくはまつエクをメニューに加える予定がある方は、内装に取り掛かる前に手続き関連をしっかりと準備しておきましょう!

 

開業時の初期費用

 

自宅サロンを開業させる場合、目安となる初期費用は以下のとおりです。

 

  • 内装工事・インテリアなど:30万円~
  • 施術物品:ネイルなら30万円程度~
  • 営業商材:5万円~
  • 広告宣伝費:2千円~

 

営業商材とはレジや予約システムなど、運営をスムーズにするために必要なアイテムを指します。また、広告宣伝費の2千円はあくまでも手作りチラシの場合です。HPの作成をプロに依頼するなら20万円以上、ロゴの作成には3万円~10万円を見ておきましょう。さらに初期費用とは別に、光熱費や消耗品の「運営費用」も大切な準備となります。

ネイル】自宅サロンの営業許可・開業時のポイント

 

営業許可は不要

 

自宅でネイルサロンを持つ場合、開業届以外に必要な届け出はありません。自宅ではなく、テナントやレンタルサロンの場合でも不要です。

 

ただし、2010年9月に厚生労働省が定めた「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」は、おさえるべき注意点です。行政機関からの指導が入るものではありませんが、自宅サロンの運営者が自主的に取り組むべき衛生管理の指標とされています。

 

内容の一部には、『作業場は、待合所、居住室、休憩室等作業に直接関係ない場所から区分されていること。隔壁等により、完全に区分されていることが望ましいが、仕切り等により

明確に区分されていること。』とあります。

 

居住中の自宅をサロンとして使うことに問題はないのですが、居住スペースとは区別された専用の施術室を設けるのが理想です。難しい場合には、パーテーションやカーテンなどを活用しましょう。

 

ネイルサロンの運営に資格は不要

 

ネイリストとして働くために、資格は不要です。とはいえ独学のみでネイリストとして活動する人はほとんどおらず、就職時にも以下のような民間資格が求められます。

 

 

JNECネイリスト技能検定試験

JNAジェルネイル技能検定

ネイルスペシャリスト技能検定試験

主催団体

公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター

NPO法人 日本ネイリスト協会

INAIL-A

試験開催時期

1級:年2回

2・3級:年4回

年2回

年2回

合格率

1級:36.6%

2級:39.6%

3級:83.8%

初級:72.2%

中級:71.2%

上級:48.0%

A級:88%

PA級:13.3%

AA級:21.2%

AAA級:23%

 

自宅サロンであっても、上記資格を持っている方がお客様からの信頼もあがり、集客しやすくなります。

 

【リラクゼーション】自宅サロンの営業許可・開業時のポイント

 

 

営業許可は不要

 

自宅でリラクゼーションサロンを持つ場合、開業届以外に必要な届け出はありません。自宅ではなく、テナントやレンタルサロンの場合でも不要です。

 

リラクゼーションサロンの場合、目安となる必要スペースは6畳程度。どのようなメニューで施術するかにもよりますが、ほとんどの場合ベッドは必須ですよね。

 

そのほか専用機材や施術用具のストックなどを考えると、「施術専用の部屋」を確保するのがベストです。

 

あん摩マッサージ・鍼灸は国家資格が必要

 

基本的に資格不要・営業許可不要で開業できるリラクゼーションサロンですが、「あん摩マッサージ」と「鍼灸」の施術を行うには国家資格が必要になります。どちらも文部科学省・厚生労働省が指定する医療系の学校において、3年以上の学習が受験資格です。

 

自宅サロン開業時には管轄の保健所から営業許可をもらう必要があり、構造設備基準も定められています。このため、あん摩マッサージ・鍼灸で自宅サロンを開業する場合には、まずは自宅が構造設備基準を満たしているかどうか?を確認してくださいね。

 

このほかのリラクゼーションサロンにおいて、必須ではないものの強みとなる資格は以下のとおり。

 

アロマテラピー

・アロマテラピー検定

・アロマテラピーアドバイザー

・アロマテラピーインストラクター

・アロマセラピスト

リンパマッサージ

・リンパケアセラピスト

・リンパドレナージュセラピスト

・リンパリファインセラピスト

リフレクソロジー・足つぼ

リフレクソロジー(レギュラー/マスター/インストラクター/トップインストラクター)

ストレッチ

ストレッチトレーナー

 

【まつエク】自宅サロンの営業許可・開業時のポイント

美容所登録が必要

 

まつエクの施術を行うためには、美容師免許が必要です。美容師免許を取得した上で、開業時には「美容所登録」が必要になります。

 

美容所登録は出店地域の管轄保健所から「構造設備」や「衛生管理」などの基準を満たしている証明です。また、常時勤務するスタッフが2名以上いる場合には「管理美容師」の配置が義務付けられています。

 

美容所登録をしていない・管理美容師を置いていないなど、法令に違反があると30万円の罰金や閉鎖命令が下される可能性があります。必要な営業許可を取り、万全の体制でオープンさせてくださいね。

 

美容所登録の手順

前述したとおり、まつエク施術を行うサロンでは、営業許可としての「美容所登録」が必要です。以下、美容所登録の流れを見てみましょう。

 

  1. 保健所への事前相談(内装工事開始前)
  2. 容所開設届書・構造設備概要書の提出(開業1週間から10日前まで)
  3. 保健所による立ち入り開設検査(届出提出後1週間程度)
  4. 確認書受領(立ち入り検査の翌日以降)

 

自宅サロン開業にあたり、他業種と大きく異なるのは、「内装工事前」に保健所へ相談が必要な点ですね。まつエクサロンは構造上の規定もありますので、内装してからの手続きでは遅くなります。

 

自宅の平面図を持参し、どのように改装したいかの希望も含めて相談しましょう。また、美容所登録に必要な書類は保健所によって異なりますので、相談時に窓口でもらう、もしくは保健所HPからダウンロードしてください。

 

【エステ】自宅サロンの営業許可・開業時のポイント

 

営業許可は不要

 

自宅でエステサロンを持つ場合、開業届以外に必要な届け出はありません。自宅ではなく、テナントやレンタルサロンの場合でも不要です。

 

ただし、フェイシャルエステで「顔剃り」をメニューに取り入れるなら、理容師免許・開業の美容所登録が必要になります。美容所登録の流れは【まつエク】にて記述していますので、そちらを参考にしてください。

 

自宅エステサロンの運営に資格は不要

 

顔そりには理容師免許が必要ですが、それ以外のエステであれば資格なしでも運営可能です。とはいえ資格を持っていると、店の強みになり集客力もアップしますよね。

 

特にエステティシャンのように技術力を求められる業種は、「どれほどの技術力があるのか?」を証明する形として資格が使えるのです。以下、民間のエステティシャン協会が主催している資格制度を見ていきましょう。

 

AJESTHE認定エステティシャン

 

美容業界において認知度、信頼度ともに最高レベルの資格です。主催団体は「一般社団法人日本エステティック協会(AJESTHE)」で、以下どちらかを満たしていることが取得条件になります。

 

  • 協会認定の美容学校で最低300時間以上のコースを修了(通信教育でも可)
  • エステティシャンとしての実務経験1年以上 

 

試験内容はフェイシャルとボディマッサージの実技、そして筆記です。難易度はそれほど高くありませんので、これから資格取得をめざしている方にもおすすめできます。すでにこちらの資格を取得している方は、上位資格である「AJESTHE認定上級エステティシャン」や「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」もありますよ。

 

AEA認定エステティシャン

 

エステティシャンとしての基礎知識や技術力だけではなく、接客マナーレベルも証明できる資格です。主催団体は「一般社団法人日本エステティック業協会(AEA)」で、取得条件は前述したAJESTHE認定エステティシャンと同じです。

 

ビューティー・セラピー・ディプロマ

 

国際的に活躍できるエステティシャンとしての資格です。主催団体は「CIDESCO-NIPPON」で、1200時間以上のカリキュラム受講・実務経験3年以上など細かい取得条件が定められています。

 

前述した2つの資格よりも難易度が高く、高度なエステ技術やサービス提供力を求められます。集客力には抜群の効果を生み出してくれる資格ですので、エステ業界で3年以上の実務経験がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

自宅サロンの営業で注意すべき物件上のポイント

 

賃貸借契約の内容を確認する

 

居住中の自宅でサロンを開業するときには、必ず事前に「賃貸借契約」の内容を確認してください。居住用として借りている住宅は、事業目的での利用が認められていません。そのため居住用の自宅を勝手にサロンとして使い始めると、契約違反となる可能性があります。

 

特にサロンの場合、お客様の出入りがあるため目立ちやすく、他の住民達に防犯面での不安も与えてしまいます。黙って事業用に使っていることが露見した場合には、違反金請求や契約解除(退去命令)などの措置が取られます。

 

賃貸借契約の内容を確認した上で、大家さんや管理会社などに「サロンとして使いたい」と相談しておきましょう。

 

消防法の規定をクリアしているか確認する

 

集合住宅を自宅サロンとして改装する場合には、工事開始の7日前までに「防火対象工事等計画届出書」の提出が必要です。サロンのように不特定多数の人が出入りし、火災発生時の被害が大きくなると予想される場所が「防火対象」とされています。

 

この届出は最寄りの消防署に出します。まずはあなたのサロンが防火対象となるかどうかを、管轄の消防署に確認しておきましょう。

 

まとめ

 

今回は自宅サロンを開業させる場合の、営業許可や資格についてお伝えしてきました。

 

  • 全業種共通で必要な届出は「開業届」のみ
  • まつエク施術には営業許可として「美容所登録」が必要
  • エステで顔そりをするためには「理容師免許」と「美容所登録」が必要
  • 賃貸でサロンを開くには「事業目的」として契約できていることが条件
  • 改装前には管轄の消防に「防火対象工事等計画届出書」について相談する

 

自宅サロンは自由度が高い分、法的な手続きもすべて自分で行う必要があります。1つひとつ丁寧にクリアして、あとから問題が発生しないように努めましょう!

 

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