自宅サロンは違法になるケースも!賃貸物件で気を付けるべきポイント

言葉どおり自宅をそのまま活用できる「自宅サロン」は、開業資金をおさえられるため人気が高まっている独立方法のひとつです。しかし何も確認せずにオープンすると、実は法令違反になる可能性があります。

 

今回は自宅サロンで違法になりやすい「賃貸物件」を中心に、気を付けるべきポイントを解説していきます。さらに違法ではありませんが、よくあるトラブルの対策についても、一緒に考えていきましょう!

 

自宅サロン開業の手順を知って違法にならないようにしよう!

 

自宅サロンとして開業できる種類には、エステ・まつ毛エクステ・ネイル・リラクゼーションなどがあります。ゼロから自宅サロン開業を目指す方のために、まずは開業までの手順を見ていきましょう。

 

  • ・事業計画書の作成
  • ・資金の準備
  • ・内装、設備の準備
  • ・必要な届出を提出する

 

開業手順については別な記事で詳しく解説しているため、上記はあくまでも大まかな流れです。今回「自宅サロンが違法になるケース」として注意したいのは、主に自宅サロンとして使う「物件」がメインになります。

 

物件上の問題は、最初にクリアしておくべきポイントです!物件問題は、開業後に気づいても遅く、後戻りができません。

 

法的な部分に関しては後述しますが、同居家族の同意も忘れてはいけないですよね。営業時間は何時から何時までにするのか?営業中に同居家族が在宅となった場合、気をつけて欲しいことは何か?などを話し合っておきましょう。

 

家族間トラブルは自宅サロンの雰囲気も悪くしてしまいます。お客様に居心地の良さを感じてもらい、安心して施術ができる環境を整えてくださいね。

 

自宅サロンで違法になりやすいのは賃貸物件

 

自宅サロンで違法になるリスクを持っているのは、賃貸物件です。開業準備に入る前に、しっかりとチェックしてくださいね。

 

賃貸借契約違反

賃貸物件は「居住用」と「事業用」で契約が分かれているのをご存じでしょうか?通常は居住用として契約していますので、勝手に事業用として使い始めると契約違反になります。

 

民法594条 第一項に『借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。』と明記があるため、たとえお小遣い稼ぎ程度だったとしても、居住用で許可なしにサロンの運営をすることは違法行為です。

 

契約内容に違反した場合、即刻退去命令が下されたり、民事訴訟を起こされてしまうリスクがあるので気をつけましょう。まずは居住用として契約した物件を事業用に変更できるかどうかを、貸主に相談してみてくださいね。

 

また、もうひとつ注意していただきたいのが、分譲マンションです。分譲マンションの所有は自分自身ですから、自宅サロンにしても問題ないのでは?と思ってしまいますよね。

 

しかし管理組合の管理規約によっては、事業としての利用を制限しているケースがあります。契約内容的に問題がない場合でも、サロンをオープンさせると人の出入りが増えますので、事前に管理組合に一言相談しておくと、あとからトラブルが起きるリスクを減らせますよ。

 

消防法違反

自宅サロンでは、消防法にも注意が必要です。本来、店舗や事務所を構える場合には、使用開始の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」の提出が必要になります。

 

消防法のなかには、不特定多数の人が出入りすることを想定した建物設備要件があり、満たされていないと消防法違反になってしまうのです。管轄の消防署へ連絡し、自宅サロンを運営しても問題のない建物かどうかを念のため確認しておきましょう。

 

美容所登録が必要なケース

エステやネイルサロンには必要ありませんが、まつ毛エクステの施術をおこなう場合には保健所への美容所登録が必要です。開業の1~2週間程度前に、管轄の保健所へ「美容所開設届」を提出し、保健所職員による実地検査がおこなわれます。

 

実地検査に問題がなければ、後日「美容所確認証済」が発行され、晴れてオープンできるのです。美容所登録をしないまま開業したことが発覚すると、30万円以下の罰金・営業停止のペナルティが課せられます。

 

ここでもう少し詳しく、保健所の実地検査内容を見ておきましょう。

 

  • ・施術室が、1部屋あたり13平方メートル以上であるか
  • ・施術室の照明が、100ルクス以上あるか
  • ・蓋つきの汚物箱、毛髪箱が用意されているか
  • ・消毒設備(流し台・流水設備・換気)が整っているか
  • ・施術室とは異なる待合スペースが設けられているか

 

おもにチェックされるのは、上記したポイントです。待合スペースはパーテーションなどでも問題ありません。まつ毛エクステサロンとして運営する場合には、事前に管轄保健所が定める美容所登録の規定を確認し、問題を解決しておきましょう。

 

自宅サロンで違法ではないがよくあるトラブルと対策

自宅に不特定多数の人が出入りする自宅サロンでは、トラブルもよくあります。どのようなリスクがあり、それぞれどのように対策できるのかを事前に知っておくことが重要な危機管理になりますよ。

 

駐車場トラブル

駐車場問題は、自宅サロンでよくあるトラブルのひとつです。「なんとかなるだろう」と軽く考えるオーナーも多いのですが、周りの迷惑に直結する問題ですので、事前に対策しておきましょう。

 

駐車場が確保できても、場所が分かりにくいとお客様が迷ってしまいます。「少しの時間だから」と路上駐車をしたり、近隣のショッピングモールに無断で停めたりなどの結果になってしまいますので、お客様への周知も忘れずにおこないましょう。

 

近隣住民からのクレーム

賃貸物件で自宅サロン開業の許可が取れたとしても、「急に人の出入りが増えた」と不安に感じる近隣住民もいます。また、自宅サロンと近隣住民の間で起きるトラブルには、「騒音問題」もよくあります。

 

こうしたトラブルを防ぐために、開業前に両隣へ挨拶したり、営業時間を日中のみにしたりなどの配慮をしておきましょう。

 

防犯上の問題

自宅サロンを開業するときには、集客に不安を感じるオーナーが少なくありません。そのためSNSやチラシを活用する方も多いと思いますが、不特定多数に自分の情報を公開するのはリスクが高すぎますよね。

 

  • ・住所の記載には番地や地図を入れない
  • ・LINEの問い合わせフォームを活用する
  • ・予約アプリを導入する

 

このように、特に住所に関しては公にしない工夫をしてください。

 

またお客様限定とはいえ、自宅に招き入れる以上、多少なりともプライバシーを覗かれる覚悟も必要です。すべてのお客様が倫理的に信頼できるかどうかまでは判断できませんので、個人情報や貴重品は見えない導線を作るのが鉄則。

 

玄関から一番近い部屋を施術スペースとしたり、リビングを使う場合でもパーテーションなどを活用しましょう。お客様にとっても、非日常空間の演出となるのでマイナスにはなりませんよ。

 

お客様との距離感を大切にする

防犯上の問題とつながるのですが、施術中の会話内容にも注意してください。他のお客様の情報を伝えないことはもちろんですが、あなた自身のプライベートな話をしすぎるのもリスクがあります。

 

自宅サロンはオーナーとお客様との距離感が近く、それがお客様にとって良い安心感を与える強みがありますよね。しかし一方で、近づきすぎが原因で生まれるトラブルもあります。

 

最初から友達感覚になるのではなく、一定の距離感を保った接客を心がけると、あなた自身を守れますよ。

 

施術でのトラブル・クレーム

美容系サロンにおいて、クレームは避けられない問題です。オーナーがどれだけ注意深く丁寧に施術をしても、長く続けていけば必ず起こると考え、事前に対策を決めておくのが重要になります。

 

対策のひとつにあるのが、「施術(免責)同意書」です。同意書に入れるべきポイントは、以下のとおり。

 

  • ・体調に関すること
  • ・サービスの細かい内容
  • ・使用する商品
  • ・お支払い見込み額
  • ・お支払い方法と時期
  • ・施術後の返金について

 

「ネイルの持ちが悪い場合がある」や「肌状態により施術をお断りする場合がある」など、サロンの種類によって必要な文言を入れてください。特にお客様の体調不良・アレルギーの無申告が原因でトラブルが起きた場合、同意書にサインがあればサロンが負う責任も軽くなります。

 

また、正当なクレームに対する対応方法も重要です。「ネイルが一日で禿げてしまった」などに対して、「施術後1週間以内の申し出であれば無償でお直し」など、ルールを設けておきましょう。

 

まつ毛エクステサロンやフェイシャルエステの場合には、大きなトラブルになるリスクを考えて「賠償保険」への加入もおすすめします。施術中に起きたトラブルでの治療費や交通費、慰謝料などが保険対象となっているため、念のため加入しておくに越したことはありません。

 

自宅サロンで48万円以上の売上になったら確定申告も必要!

自宅サロンを開業するときには「確定申告はどうすればいいの?」を心配になりますよね。結論から言うと、売り上げから経費を差し引いた金額が48万円以上になる場合、確定申告が必要になります。

 

週末のみなど副業として自宅サロンを運営するなら「確定申告A」、本業として運営していくには「確定申告B」の提出をおこなってください。

 

確定申告には開業開始日から一ヶ月以内に税務署への「開業届」の提出も必要です。もちろん副業で始める場合には、どれくらいの利益になるかまったく検討がつかない方もいますよね。

 

開業届は「継続的に収入が発生する場合」にのみ必要ですので、開業後半年程度は様子見をしても問題ありません。

 

まとめ

自宅サロンは自由度が高い分、下調べから手続きのすべてを行うのも、自分自身です。

 

  • 賃貸借違反になっていないかどうか
  • 消防法違反になっていないかどうか
  • まつエク施術をするなら美容所登録が必須
  • 駐車場は分かりやすく周知すること
  • クレームやトラブルにも備えが重要

 

こうした事前準備を怠ると、知らないうちに違法行為をしてしまう可能性があります。まずは自宅サロンの種類によって必要な手続きをきちんと行い、正当な開業を整えていきましょう!

 

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